冊封儀式 (さっぽうぎしき)
中国皇帝が、周辺諸国に使者を派遣し、その国の王を任命する儀式です。
世子(せいし/次期国王)は、この儀式で中国皇帝の任命を受け、
正式な琉球国王となります。
歴史用語では「さくほう」ですが、琉球では「さっぽう」と言います。
写真は、冊封儀式が行われる首里城 御庭(うなー)のようす。
❶ 闕庭(けってい) 主な儀式が行われる仮設建造物。
節(中国皇帝の使者の印)や詔書・勅書(琉球王国への任命文書)
・香炉などが置かれている。
❷ 宣読台(せんどくだい) 新国王に任命する詔書・勅書を読み上げる場所。
❸ 御拝御座(みはいござ) 琉球国世子(次期国王)が冊封を受け拝礼する場所。
❹ 綵亭(さいてい) 皇帝から国王へ贈る絹織物が載っている。
❺ 龍亭(りゅうてい) 皇帝の名代の印「節」が載っている。
❻ 諸官御拝座(しょかんみはいざ) 琉球側の役人が拝礼を行う場所。
首里城 御庭(うなー)へ先に入場する琉球国世子。
冊封を受ける前なので世子(せいし)と呼ぶ。
左に付き従うのは、おそらく摂政(しっしー)で
右側が三司官の一人だと思われる。
摂政は三司官の上に立つ琉球で最高位の官職だが、
名誉職化して、実質の政務は
三司官が執っていたそうです。
儀仗(ぎじょう)を先頭に、冊封使節団が
首里城 御庭(うなー)へ入場します。
儀仗は儀礼用の武具などを持った兵のことで
闕庭(けってい)の左右に配置されます。
冊封使節団を迎える琉球国世子。
世子の右横に立っているのは、
引礼官(いんれいかん)。
世子の近くで、誘導・号令をかける役割の
中国側の役人です。
左端は、通事(つうじ) 中国側の通訳です。
世子の焼香。
闕庭(けってい)上では中国皇帝の名代、
正使(右)と副使(左)の立ち合いの元
世子が闕庭中央の香炉に香を捧げます。
世子の右に膝まづいているのは、
司香(しこう)といって、
闕庭上で香を焚く中国側の役人です。
世子に香を渡しています。
詔書・勅書の宣読。
宣読台で、宣読官が中国皇帝からの
詔書・勅書を読み上げます。
ここで、はじめて世子が琉球国王に
任命されることになります。
右側の背を向けている役人が宣読官。詔書・勅書を読み上げる役職。
詔書を掲げているのが奉詔官。詔書を捧げ持つ役職。
左端が奉勅官。勅書を捧げ持つ役職。
三跪九叩頭礼(さんききゅうこうとうれい) 中国式の最上級の拝礼。
拝礼後、闕庭で皇帝からの贈り物を賜ります。
内容は、数々の絹織物や皇帝自らが書いた御書(ぎょしょ)などです。
御書はその後、扁額に仕立てられ、正殿二階の御差床(うさすか)の上に掲げられます。
闕庭(けってい)上の右が「正使」。左が「副使」。
闕庭手前右側が「奉詔官」。左側が「奉勅官」。
闕庭脇左端は「通事」。写っていませんが闕庭脇右端に「司香」が立っています。
いちばん手前が「引礼官」。そして御拝御座上の「琉球国王」。
詔書・勅書の拝領。
冊封使 正使より詔書・勅書を拝領します。
これで儀式のほとんどが終了となります。
その後、琉球国王は、正使・副使と共に正殿へ …。
正殿内で正使・副使と歴代中国皇帝の扁額を
拝観した後、北殿で小宴が開かれたそうです。
極彩色で彩られた儀式は、厳かで豪華絢爛なものでした!
毎年、首里城祭で催されますので、観たことのない方は、
ぜひ一度ご覧になってください。
儀式の解説は、会場で配布された、リーフレットなどを参照に
今回撮った写真と照合しながら、書き起こしました。
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